建設業許可の500万円——税込で数え、分割しても合計される
建設業許可が要らないのは税込500万円未満の軽微な建設工事だけです。契約を分けても合計され、施主支給の材料も足されます。建設業法施行令第1条の2と許可事務ガイドラインから整理しました。
Zirko Redaktion公開日: 読了目安 9分
目次
浴室と洗面をまとめて改修する見積が、税抜で460万円になったとします。「500万円未満だから許可は要らない」と考えるのが普通ですが、消費税10%を足すと506万円です。建設業許可の500万円は税込で数えます。この工事は軽微な建設工事に当たらず、許可のない事業者が請けると建設業法第47条の罰則の対象になります。
しかもこの数字には、あとで二つの金額が足されます。契約を分けたときの残りの契約と、施主が支給した材料の市場価格です。どちらも条文に書いてあり、どちらも見積書には出てきません。
許可が要らない場合は「ただし書」に書いてある
「建設業を営もうとする者は、(中略)国土交通大臣の、(中略)都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。」 — 建設業法第3条第1項
原則は許可制で、例外が「軽微な建設工事のみ」です。そしてその中身を決めているのは法律ではなく政令です。
「法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。」 — 建設業法施行令第1条の2第1項
「満たない」なので、ちょうど500万円は軽微ではありません。500万円の工事を一件でも請けた時点で、例外の外に出ます。
基準の一覧
| 工事の種類 | 許可が要らない範囲 | 判定に足すもの | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 建築一式工事以外(内装・設備・電気・塗装など) | 一件の請負代金が税込500万円未満 | 分割した他の契約・支給材料の市場価格と運送賃 | 施行令第1条の2第1項〜第3項 |
| 建築一式工事 | 税込1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅 | 同上 | 施行令第1条の2第1項〜第3項 |
| 消費税の扱い | 「請負代金の額」は消費税及び地方消費税を含む | — | 建設業許可事務ガイドライン |
| 解体工事 | 建設業許可は不要でも、解体工事業の登録は別に必要 | — | 建設業許可事務ガイドライン(建設リサイクル法) |
建築一式工事の「木造」は建築基準法第2条第5号の主要構造部が木造であるもの、「住宅」は延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものと、ガイドラインが定義しています。店舗併用住宅でも、居住部分が半分に届かなければ住宅には当たりません。
税込で数える——ガイドラインが明記している
条文そのものに消費税の言葉はありません。書いてあるのは国土交通省の建設業許可事務ガイドラインで、法・令・規則の中の「請負代金の額」その他の個々の取引に係る請負代金の用語は「当該取引に係る消費税及び地方消費税の額を含むものとする」とされています。
税抜の見積書を作る事業者ほど、ここを取り違えます。税抜でおよそ454万5千円を超えると、税込では500万円に届きます。税抜455万円の見積は、税込では500万5千円です。
契約を分けても合計される
「一件500万円未満」を二つの契約に分ける方法は、ネットでよく「抜け道」として語られます。施行令はこれを先に塞いでいます。
「前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。」 — 建設業法施行令第1条の2第2項
浴室で300万円、洗面とトイレで260万円、と契約書を二通にしても、同じ工事の完成を分けて請けているなら560万円です。例外は「正当な理由」がある場合だけで、何が正当かを定めた条文はありません。許可を避けるための分割が正当な理由にならないことだけは、条文の組み立てから明らかです。契約を分けるなら、工事請負契約書に書く16の事項と収入印紙も契約ごとに要ることになります。
施主支給の材料も足される
「注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。」 — 建設業法施行令第1条の2第3項
手間請けの工事でよく起きます。請負代金は取付手間の400万円だけ、ユニットバスと給湯器は施主が買って現場に届けた、という工事でも、その機器の市場価格と運送賃を足して判定します。機器が150万円なら550万円です。請負代金の欄だけを見ていると、許可の要る工事を許可なしで請けていることに気づきません。
個人事業主・一人親方も同じ基準
建設業法第3条第1項の主語は「建設業を営もうとする者」で、法人か個人かを区別していません。第2条第2項は建設業を「元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業」と定義しています。下請として請ける工事でも、一人親方として請ける工事でも、税込500万円以上なら許可が要ります。
反対に、500万円未満の工事だけを請けている限り、事業の規模や売上の合計に関係なく許可は要りません。基準は年商ではなく一件ごとです。
もう一つの「500万円」——許可を取るときの財産的基礎
許可を取ろうとすると、別の500万円に出会います。建設業法第7条第4号は、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないことを許可の基準に置いています。ガイドラインはこれを、次のいずれかに当たれば満たすものとして扱っています。
- 自己資本の額が500万円以上である
- 500万円以上の資金を調達する能力がある(融資証明書や預金残高証明書などで判断)
- 許可申請の直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある
二つの500万円は、根拠も意味もまったく別です。一つ目は工事一件の請負代金で、許可が要るかどうかを決めます。二つ目は申請者の自己資本や資金調達力で、許可が取れるかどうかの基準の一つです。ほかに第1号の経営業務の管理を適正に行う能力、第2号の営業所ごとの技術者があり、第2号の条文は現在「営業所技術者」という言葉を使っています。以前の「専任技術者」で案内している資料は、条文の改正前のものです。
一般と特定は、下請に出す金額で分かれる
許可には一般建設業と特定建設業の二つがあり、分かれ目は自社が施工する工事の大きさではありません。建設業法第3条第1項第2号は、発注者から直接請け負う一件の建設工事について、下請代金の総額が政令で定める金額以上となる下請契約を結んで施工しようとする者に特定建設業の許可を求めています。
「法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、五千万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、八千万円とする。」 — 建設業法施行令第2条
一人親方や、元請から工事を請ける専門工事業者が特定建設業の許可を必要とする場面は、ほぼありません。自分が元請として、しかも5,000万円以上を下請に出すときの話です。
無許可で請けたときの代償
「次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。一 第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだとき。」 — 建設業法第47条第1項
第2項は、情状により拘禁刑と罰金を併科できるとしています。「知らなかった」「税抜では500万円未満だった」は条文上の例外ではありません。
許可を取ったら、店と現場に掲げる
建設業法第40条は、建設業者に対して、店舗と、発注者から直接請け負った建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げることを求めています。いわゆる建設業許可票です。記載事項は同法施行規則第25条が定めていて、店舗では一般建設業または特定建設業の別、許可年月日・許可番号・許可を受けた建設業、商号または名称、代表者の氏名の四つ、現場ではこれに主任技術者または監理技術者の氏名が加わります。下請として入っている現場には、自社の標識を掲げる義務はありません。元請として下請に出す側に回ると、今度は下請負人の許可番号を建設業法第40条の3の帳簿、つまり工事台帳に書く立場になります。
見積の段階で数えてみる
許可のない内装業者が、マンションの一室の改修を見積もるとします。
- 内装工事の見積:税抜420万円 → 税込462万円
- 同じ施主から、同じ部屋の建具交換を別の契約で:税抜40万円 → 税込44万円
- 施主が自分で買ったシステムキッチンの取付も含む:市場価格60万円、運送賃2万円
判定の金額は462万円+44万円+62万円で568万円です。見積書の上ではどれも500万円に届いていませんが、施行令第1条の2の三つの項を順に当てると、この工事は許可なしでは請けられません。確かめる順番は、税込にする、同じ工事の別契約を足す、支給材を足す、の三つだけです。見積書作成の手順どおり数量と単価で内訳を組み、施主支給の機器も金額なしの一行として書いておけば、判定で足すべきものを見落としません。
2026年9月28日時点の法令と建設業許可事務ガイドライン(最終改正 令和7年2月1日)に基づきます。この記事は条文の内容を説明するもので、個別の事案についての法律相談に代わるものではありません。許可の要否の最終的な判断は、営業所の所在地を管轄する都道府県または地方整備局の窓口が行います。軽微な建設工事の金額基準と特定建設業の下請代金の基準は政令で定められており、法律より改正されやすい部分です。見積の前にe-Gov法令検索で施行令第1条の2と第2条の現在の条文を確認してください。
Zirkoがここでしていること:見積書には税抜合計、税率ごとの消費税、税込合計が並ぶので、判定に使う税込の金額はそのまま読めます。案件ごとに帳票がまとまるため、同じ施主・同じ現場の別の見積もすぐに並べられます。していないこと:Zirkoは、ある工事が軽微な建設工事に当たるかどうかを判定しません。契約の分割に正当な理由があるか、施主支給の材料の市場価格がいくらかは、事業者自身が判断する事実です。建設業許可の有無や有効期限の管理も行いません。
よくある質問
個人事業主や一人親方でも建設業許可は必要ですか。
必要な場合は同じです。建設業法第3条第1項は「建設業を営もうとする者」に許可を求めており、法人か個人かで区別していません。建築一式工事以外なら、一件の請負代金が税込500万円以上の工事を請ける時点で許可が要ります。500万円未満の工事だけを請ける限り、個人でも法人でも許可は不要です。
契約を二つに分けて500万円未満にすれば、許可なしで請けられますか。
原則として請けられません。建設業法施行令第1条の2第2項は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは「各契約の請負代金の額の合計額とする」と定めています。例外は「正当な理由に基いて契約を分割したとき」だけで、許可を避けるための分割はこれに当たりません。
施主が材料を支給する場合、500万円の判定はどうなりますか。
支給された材料の市場価格を請負代金に足して判定します。建設業法施行令第1条の2第3項は、注文者が材料を提供する場合、その市場価格または市場価格及び運送賃を請負代金の額に加えたものを判定の金額とすると定めています。手間請けで請負代金が400万円でも、支給材が150万円なら550万円として数えます。
許可なしで500万円以上の工事を請けるとどうなりますか。
建設業法第47条第1項第1号により、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。第2項により情状によって両方を併科することもできます。対象は「第三条第一項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだとき」で、一件の工事でも当たります。
一般建設業と特定建設業の違いは何ですか。
発注者から直接請けた一件の工事で、下請に出す金額の総額で分かれます。建設業法第3条第1項第2号と同法施行令第2条により、下請代金の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になる下請契約を結んで施工する元請には特定建設業の許可が要ります。自社で施工する工事の大きさや、下請として請ける場合は関係しません。
建設業許可に有効期限はありますか。
5年です。建設業法第3条第3項は「五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う」と定めています。期間満了までに更新を申請していれば、処分が出るまでの間は従前の許可が効力を持ち続けます(同条第4項)。
500万円未満の解体工事なら何もいりませんか。
いいえ。建設業許可は要りませんが、建設業許可事務ガイドラインが注意しているとおり、建設リサイクル法の施行後は、軽微な建設工事であっても同法に基づく解体工事業の登録が必要です。500万円の基準が外すのは建設業法の許可だけで、他の法律の登録や届出は別に確認します。
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Zirkoは2026年末に正式リリースします。それまでは初期のテスト版をお試しいただけます。登録してアドレスを確認すれば、すぐにご利用いただけます。リリース時にもう1通メールをお送りするだけです。
2026年末に提供開始
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出典
- 建設業法第2条・第3条・第7条・第40条・第47条(e-Gov法令検索) (確認済み: 2026年9月28日)
- 建設業法施行令第1条の2(軽微な建設工事)・第2条(特定建設業の下請代金の額) (確認済み: 2026年9月28日)
- 建設業法施行規則第25条(標識の記載事項及び様式) (確認済み: 2026年9月28日)
- 国土交通省 建設業許可事務ガイドライン(最終改正 令和7年2月1日)— 令第1条の2の判断、請負代金の額と消費税、財産的基礎 (確認済み: 2026年9月28日)