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建設業法の下請代金支払期日——1か月と50日、年14.6%の遅延利息

建設工事の下請は取適法の適用除外で、支払のルールは建設業法にあります。元請が支払を受けてから1か月以内、特定建設業者なら引渡しの申出から50日以内、遅れれば年14.6%の遅延利息です。

Zirko Redaktion公開日: 更新日: 読了目安 9分

目次

「下請法があるから60日以内でしょう」——建設工事では、この一言が通りません。

2026年1月1日に下請代金支払遅延等防止法が中小受託取引適正化法(取適法)に改称・改正されましたが、建設工事の下請はそもそもこの法律の外側にあります。条文が明文で外しています。

この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業……を営む者が業として請け負う建設工事……の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。(取適法第2条第4項)

外されている理由は、保護がないからではありません。建設業法に同趣旨の規定が別に置かれているからです。ただし数字が違います。取適法の60日ではなく、建設業法の1か月と50日です。

建設業法の2本の期限

① 元請が入金を受けたら1か月以内(第24条の3)

すべての元請に適用される原則です。

元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

起点は元請が施主から入金を受けた日です。工事の完成日でも、下請が請求書を出した日でもありません。だから、下請の立場でまず押さえるべき事実は1つ——元請はいつ入金を受けたのか。

第24条の3にはあと2項あり、どちらも下請にとって重要です。

2 前項の場合において、元請負人は、同項に規定する下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。

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3 元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならない。

「適切な配慮」は義務としては弱い書き方ですが、手形で労務費を払われたとき、前払金を受け取った元請が下請に一切前払いしないときに、条文の裏づけをもって交渉できるという意味はあります。

② 特定建設業者なら引渡しの申出から50日以内(第24条の6)

元請が特定建設業者である下請契約には、上乗せの規定があります。

特定建設業者が注文者となつた下請契約……における下請代金の支払期日は、第24条の4第2項の申出の日……から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。

「第24条の4第2項の申出の日」とは、引渡しの申出の日です。第24条の4はこう組み立てています。

  1. 下請から完成の通知を受けたら、元請は20日以内に、かつできる限り短い期間内に検査を完了しなければならない(第1項)。
  2. 検査で完成を確認した後、下請が申し出たときは、直ちに引渡しを受けなければならない(第2項)。

つまり期日は「完成通知 → 20日以内に検査 → 引渡しの申出 → そこから50日以内に支払」という順で決まります。

そしてここが強い部分です。

2 ……下請代金の支払期日が定められなかつたときは第24条の4第2項の申出の日が、前項の規定に違反して支払期日が定められたときは同条第2項の申出の日から起算して五十日を経過する日が、下請代金の支払期日と定められたものとみなす。

契約に支払期日がなければ申出の日が支払期日、90日と書いてあれば50日目が支払期日。契約書の文言が期限を伸ばすことはできません。

なお第3項は、支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難と認められる手形の交付を禁じています。

特定建設業者かどうか

特定建設業の許可が必要なのは、発注者から直接請け負った工事について、下請に出す金額が一定額以上になる場合です。建設業法施行令第2条は、

法第3条第1項第2号の政令で定める金額は、五千万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、八千万円とする。

としています。元請の許可票(建設業の許可票)に「特定建設業」と書かれていれば、50日ルールが効きます。 現場に掲示されているので、下請の側からも確認できます。

遅れたら年14.6%

第24条の6第4項です。

特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となつた下請契約に係る下請代金を……支払期日までに支払わなければならない。当該特定建設業者がその支払をしなかつたときは、当該特定建設業者は、下請負人に対して、第24条の4第2項の申出の日から起算して五十日を経過した日から当該下請代金の支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に国土交通省令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

その率は建設業法施行規則第14条です。

法第24条の6第4項の国土交通省令で定める率は、年十四・六パーセントとする。

起算日は支払期日ではなく、申出の日から50日を経過した日である点に注意してください。契約で30日と定めていても、遅延利息が動き出すのは50日目からです。

なお、支払った下請代金の額・支払年月日・支払手段、手形の満期、残額、そして支払った遅延利息の額は、建設業法施行規則第26条第1項第4号ニにより帳簿の記載事項です。日付を書く欄がある帳簿は、遅れたことにも気づきます——工事台帳に何を書き、何年保存するか。

計算はこうなります。下請代金330万円(税込)、引渡しの申出が6月10日、実際の入金が9月4日だとすると、

50日を経過した日 … 7月30日
支払をした日     … 9月4日
日数            … 36日

3,300,000 × 0.146 × 36 / 365 = 47,520 円

5万円近い金額です。 これは請求できる金額であって、お願いする金額ではありません。

特定建設業者でない元請、あるいは施主が払わないとき

第24条の6が使えるのは、元請が特定建設業者で、かつ下請が特定建設業者でも資本金が政令で定める額以上の法人でもない場合に限られます。それ以外——一般建設業者の元請、あるいは施主が直接の相手——では、契約の定めが第一です。

建設業法第19条第1項は、請負契約の当事者が書面に記載して相互に交付すべき事項を16号まで並べており、その中に、

  • 第5号 前金払・出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  • 第12号 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
  • 第14号 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金

があります。第14号は「定めをするとき」ではなく無条件に並んでいます。 契約書に遅延損害金の定めがないなら、その契約書は第19条を満たしていません。

定めがなければ、民法の法定利率によることになります。民法第404条第2項は年3パーセント。3年ごとに見直される変動制ですが(同条第3項〜第5項)、令和8年4月1日から令和11年3月31日までの期間も年3パーセントに据え置かれています。

年3%と年14.6%の差は大きいので、契約書に遅延損害金の率を書いておくこと自体が実利です。

材料や図面は取適法の対象になり得る

建設工事の請負は取適法の外ですが、それ以外の委託まで外れるわけではありません。

何を頼むかどちらの法律か
内装工事の一部を他の建設業者に請け負わせる建設業法
建具・プレカット材の製造を委託する取適法(製造委託)になり得る
施工図・設計図面の作成を委託する取適法(情報成果物作成委託)になり得る
建設機械の修理を委託する取適法(修理委託)になり得る

取適法では、支払期日は給付を受領した日から60日以内、遅延には年14.6%の遅延利息、そして2026年1月の改正で協議のない一方的な代金決定の禁止や手形払の規制が加わっています。工務店が発注する側に回る場面もあるので、片方だけ覚えるわけにはいきません。

建設業法の見積期間——1日・10日・15日

支払の前段として、見積りにも期限があります。建設業法第20条第3項は、注文者は契約締結まで(入札なら入札まで)に建設業者が見積りをするために必要な期間を設けなければならないとし、建設業法施行令第5条の9がその長さを定めています。

工事1件の予定価格見積期間
500万円に満たない工事1日以上
500万円以上5,000万円に満たない工事10日以上
5,000万円以上の工事15日以上

やむを得ない事情があるときは、10日・15日の期間を5日以内に限り短縮できます。「明日までに見積りを」は、500万円以上の工事では法令に反します。

なお第20条第1項は、材料費・労務費等の内訳と工程ごとの日数を記載した見積書を作成する努力義務を建設業者に課し、第4項は注文者から請求があったときは請負契約が成立するまでに交付しなければならないとしています。第6項は、注文者が材料費等を通常必要と認められる額を著しく下回るよう変更を求めることを禁じています。

代金が入らないときの順序

  1. 書面で請求する。 引渡しの申出の日、支払期日、未払金額、遅延利息の起算日と率(年14.6%なら根拠は建設業法第24条の6第4項と施行規則第14条)を書く。メールでも書面です。
  2. 元請の入金日を確認する。 第24条の3の1か月は、そこから数える。
  3. 許可行政庁に相談する。 元請の許可を出した国土交通大臣または都道府県知事です。国土交通省は「駆け込みホットライン」を設けています。
  4. 法的手続。 支払督促、少額訴訟、通常訴訟。建設工事紛争審査会という選択肢もあります。

1と2を先にやるだけで解決することが多く、そのために必要なのは日付の記録です。完成通知を出した日、検査の日、引渡しの申出をした日——この3つを現場ごとに残しておくと、期限の話が推測ではなくなります。

なお、支払を求める請求書そのものが要件を欠いていると、期限の話をする前に突き返されます。書くべき6項目は適格請求書の要件は6つにあります。メールでPDFを送ったなら、そのデータの保存義務も生じます(電子帳簿保存法)。

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2026年9月6日時点の法令に基づきます。この記事は法令の内容を説明するもので、個別の事案についての法律相談に代わるものではありません。建設業法は令和6年・令和7年の改正で見積り・工期・労務費に関する規定が変わっており、施行日が条文ごとに異なります。e-Gov法令検索で最新の条文を確認し、争いになりそうな案件は弁護士または許可行政庁に相談してください。

Zirkoがここでしていること:見積書と請求書の日付、送付の記録、入金の消込は工事ごとに残ります。遅延利息の計算や督促の送付は行いません。

発行した帳票の一覧。番号、帳票種別、宛先、日付、期日、金額、未回収額、ステータスの列が並び、期日を過ぎた請求書の行には「期日超過」と督促の表示が付いている。
発行した帳票の一覧。番号、帳票種別、宛先、日付、期日、金額、未回収額、ステータスの列が並び、期日を過ぎた請求書の行には「期日超過」と督促の表示が付いている。

よくある質問

建設工事の下請代金は下請法(取適法)で守られますか。

守られません。2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法、旧下請代金支払遅延等防止法)第2条第4項は、役務提供委託の定義から「建設業を営む者が業として請け負う建設工事の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせること」を明文で除いています。建設工事の下請は建設業法が規律します。ただし資材の製造委託や図面など情報成果物の作成委託は取適法の対象になり得ます。

元請はいつまでに下請代金を支払わなければなりませんか。

建設業法第24条の3第1項は「元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して……下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない」と定めています。起点は元請が施主から入金を受けた日です。

特定建設業者が元請の場合の支払期日は。

建設業法第24条の6第1項により、下請代金の支払期日は、第24条の4第2項の引渡しの申出の日から起算して50日を経過する日以前で、かつできる限り短い期間内に定めなければなりません。支払期日を定めなかったときは申出の日が、50日を超える期日を定めたときは申出の日から50日を経過する日が、支払期日とみなされます。

支払が遅れた場合の利息は何%ですか。

特定建設業者が元請の場合、建設業法第24条の6第4項により、引渡しの申出の日から50日を経過した日から支払日までの日数に応じ、未払金額に建設業法施行規則第14条が定める率を乗じた遅延利息を支払わなければなりません。同条の率は年14.6パーセントです。

元請が特定建設業者でない場合や、施主が払わない場合は。

建設業法第24条の6は特定建設業者が注文者となった下請契約についての規定です。それ以外の場面では契約の定めによります。契約に遅延損害金の定めがなければ民法の法定利率によることになり、民法第404条第2項の法定利率は年3パーセントで、令和8年4月1日から令和11年3月31日までの期間も年3パーセントに据え置かれています。

見積りにはどれだけの期間を与えなければなりませんか。

建設業法第20条第3項は、注文者が契約締結(入札の場合は入札)までの間に、建設業者が見積りをするために必要な期間を設けなければならないとしています。建設業法施行令第5条の9によれば、工事1件の予定価格が500万円に満たない工事は1日以上、500万円以上5,000万円に満たない工事は10日以上、5,000万円以上の工事は15日以上です。やむを得ない事情があるときは第2号・第3号の期間を5日以内に限り短縮できます。

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出典

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